十代最後の夏に与論島に行く意味
与論島で様々な仕事を体験し、私が一番感じたのは「みんなが誰かのためを思い働いている」ということです。例えば、与論島に来てくれたお客さんに、どうしたらより良い思い出を作ってあげられるか。くるまどうでは、新しいお土産の試作が毎日行われ、かき氷の新メニューも続々と考えられていました。社長である鬼塚さんも、海仕事においてほとんど休みなしに、駆け込みの予約にも対応し、お客さんを船に乗せ海へ案内していました。また、島の人同士の助け合いや連携も印象的でした。「誰しも一人で生きていない」ことを実感しました。与論島に来てから、そのような環境の中で、人のために最大限、自分にできることをやろうとする、そして人任せにしない島の人の姿をたくさん見ることができました。自分が生きるため、という目的の前に、その「はたらく」を通して、相手を想像することに大きな意味があるのだと感じました。鬼塚さんが繰り返し仰っていた「気遣い・心配り・気配り」の大切さを、この二週間身をもって実感することができました。
与論島に到着して、さっそく島の人の親しみやすさや距離の近さに驚きました。空港で送迎を待っている間も、たくさんの島の人が声をかけてくださいました。島キャン生だと伝えると、応援してくれたり、移動を手伝ったりしてくださいました。そんな親しみやすさから、与論について知りたいことがあれば、なんでも島の人に聞きました。みなさん「与論に来てくれてうれしい」と、たくさんのことを教えてくださいました。だからか、与論島について知る、という面ではあまり苦労は必要ありませんでした。また、同じ区域に住む人たちはみんな知っている、という強いつながりをもつ地域性も印象的でした。特に島での子育てについて、都会では薄らいでいる「地域の子どもたちをみんなで育てる」という意識を強く感じました。二週間という短い期間で、与論を存分に体験して帰ろうと思い、いろいろな場所に足を運びました。どこに行っても島の人は優しく、知らない場所なのにずっと安心していられるような、温かくて素敵な島でした。
島キャンでのインターンシップを終えてから、まだ一か月も経っていませんが、自分の中でひとつ変わったなと感じることがあります。それは「後回しにしないこと」です。課題や生活のなかの些細なことはもちろん、インターンシップや行事など、今の自分に挑戦できることを、とりあえずやってみようと考えるようになりました。つい先日、これまでなかなか勇気が出ず申し込まずにいた留学生交流会に参加し、とても貴重な体験をすることができました。何かと理由をつけて後回しにすることで、自分のためになる機会を逃していてはもったいないと改めて感じることができました。鬼塚さんの「後回しにすれば、苦しむのは自分」という言葉も印象的でした。心に余裕をもつための秘訣なのだという、大きな気づきにつながりました。島キャンでのひとつ「やり遂げた」という自信が、今後の様々な選択にも活きてくれるのではないかと思います。今のわたしにとって、とても必要な学びだったと感じています。