島キャン実施レポート

奄美生活で得られたこと

2019年夏 奄美大島
ネイティブシー奄美
8/17〜8/29
法政大学法学部  河村 莉央
はたらくを知り、自分を知った2週間
サービス業とは
毎週土曜日におこなわれている八月踊り

私は、ネイティブシー奄美内のレストランforestのホールとして2週間働かせてもらいました。レストランなら地元でもできるじゃん、と思う方もいるかもしれませんが、島のレストランは全く違った雰囲気です。島ならではの郷土料理があり、それをお客様に説明することが求められ、かつ、お客様に最高のおもてなしをすることが必要です。レストランではアルバイトの経験があったため、仕事自体はそんなにきつくはありませんでしたが、悔しいのが「これ、どんな料理?」「おすすめは?」などのお客様の質問に答えられないことです。これじゃあダメだと思い、メニューを写真に撮って休憩中に見て覚え、わからないことは調べたり、同じレストランで働いている方々に聞いたりして、少しでも頭に知識を詰め込むようにしました。そのため、郷土料理と方言には誰よりも強くなった自信があります。

島に着いた日、担当の野崎さんから「サービス業は物語だよ」とお話いただきました。最初は正直よく意味がわかりませんでした。しかし、仕事を覚え、比較的余裕ができてきた頃、お客様と「今日はどこに行くんですか?」「ダイビング、どうでしたか?」など、他愛もない会話をするのがとても楽しくなっていき、何人かのお客様には、次の日も覚えてもらっていて、また話すことができました。そして、ただ接客をしているだけでは、お客様にも私にも何も記憶に残らない、でも、少し話をしただけで全然違うんだなと気がつきました。お客様にまた来たいと思ってもらい、実際にまた来てもらう。こうして物語はつくられていくのだと思います。

毎日違う自然の色
大浜海浜公園での夕焼け

奄美にいた2週間の間、たくさんの海に足を運ぶことができました。倉崎海岸、手広海岸、用安海岸、大浜海浜公園、土盛海岸。その他にも、車での移動中に少しだけ見える海や、名前がわからない海もあります。しかし、それらはひとつも同じものがありませんでした。真っ青な海、エメラルドグリーンの海、白っぽい海、そして穏やかな海や、激しく白波をあげている海。また、同じ海でも、時間帯や天気によって、色が濃くなったり、波が高くなったりします。どの場所もどの時間帯も海が見せる色は全く違っていて、30分以上ぼーっと眺めているだけでも飽きませんでした。

さらに、奄美はとても天気が変わりやすく、地域によっても全く違います。朝快晴で、休憩時間海に入ろう!と思っていても、午後になると大雨に降られることが何度もありました。島の人に「天気予報は信用できないよ」と言われましたが、その通りです。最初は雨かーと気分が落ちることもありましたが、突然雨に降られることが増え、濡れることにも慣れてきたため、雨さえ段々と楽しくなっていきました。これは島マジックかもしれません。

こんなにも自然は変化するだなんて、都会にいるだけでは絶対に気がつかなかったことです。毎日違う海と空の色を見るのが、いつのまにか楽しみになっていました。

将来への第一歩
レストランforestの窓から見える景色

今まで、みんなが行くから高校に行き、なんとなく大学に入り、ただ平凡な毎日を過ごしていて、私は何のために大学に通っているんだろう、将来何になりたいんだろう、と思う瞬間がありました。自分は結構面倒くさがりでせっかちで不器用だから、できることなんてないんじゃないかなって思っていました。

そんな私に、ひとつの可能性を広げてくれたのが、ネイティブシーで出会った人たちです。就業している間、「いつもニコニコしていていいね」「あなたは良い笑顔を持っているね」と何度も言ってくれました。普段も友達や先輩にそのようなことを言われることは結構あったのですが、初めて会った人たちに褒められたのが嬉しかったせいか、島といういつもと違う環境のせいか、私の心にはとても響く言葉でした。また、私が働いている時期とかぶって4泊されたお客様が、最後に「毎日あなたが笑顔で接客してくれて、すごく気持ち良かったよ、ありがとう」と仰ってくださいました。

私はこのときに気がつきました、私の笑顔は武器になるんだって。そして、初めて強く思いました。人と関わる仕事がしたい、人を笑顔にする仕事がしたい、と。細かい作業やデスクワークなどより絶対私に向いています。まだぼやっとした夢ですが、今までやりたいことが何もなかった私にとっては、大きな一歩です。そして、ネイティブシーで働いている皆さんは、揃ってここの仕事が楽しい、とおっしゃっていて、その顔はとてもキラキラしていました。自分の仕事を胸を張って楽しいと言えること、自分の好きなことを仕事にすること、これが今の私の目標です。

また、昼と夜の間の2時間半の休憩、普段の私ならきっと昼寝をして過ごしていたでしょう。しかし、せっかく島にいるのに勿体無い!と思い、海に潜ったり、坂道だらけの道を自転車で30分近く爆走して、ジェラートを食べに行ったりしました。他にも、寮から就業先までの道で出会った人に自ら挨拶したり、道がわからなくなったら、すぐに近くにいる人に尋ねたりしました。こんなに積極的に行動できるようになったことに、自分でも驚いています。そして、結局は自分の行動次第、やりたいことはやりたいときにやらないと勿体無いなと思いました。

この島キャンを通して、色々な人に出会い、貴重な経験をさせてもらいました。参加するかどうか何日も迷っていましたが、小さな勇気を振り絞った結果、大きな自信につなげることができました。参加できて、本当に本当に良かったです。

倉崎海岸までの道のり兼私の通勤ロード
ホテル前のハイビスカス
大好きな第2ターム島キャン生