島キャン実施レポート

与論島で学んだことと成長したこと

2019年夏 与論島
与論町役場 環境課
8/17~8/28
高知工科大学/システム工学群  金崎 賢人
今までに訪れた最高の島
与論島と他の離島を比較して
清掃した海岸の1つ、寺崎海岸。映画「めがね」のロケ地。

私は、大学に入学してから前回の春休みまで、トカラ列島でのボランティア活動や海士町でのワーキングホリデーとして、長期休暇の度に離島を訪れている。これらの活動に参加するなかで私は離島が好きになった。そこで、この好きなことをしつつ、大学のインターンシップ単位認定制度を利用して単位を取得できれば一石二鳥だと思って島キャンに参加した。

今までにも複数の離島に行ったことがあるとはいえ、これらの島はいずれも与論島と比較すると小さな島であり、与論島と比較して観光地化されていなかった。そのため、これらの島と与論島には異なる点も多く、このことから学ぶことが多くあった。例えば、私が今回任された主な仕事は海岸清掃と植栽であるが、これが仕事として成り立つのは、観光地としての性格が強い島ならではであると感じた。これらの仕事では、与論島の観光を陰ながら支えていることを実感できた。これに対し、人口の少ないトカラ列島では、清掃などの村仕事は島民が自主的かつ協力的におこなっていた(このような支え合いができるのも離島の魅力の1つである)。また、野犬捕獲器の設置もおこなったが、野犬についての問題も、小さな島であるトカラ列島や海士町では見聞きしたことがなかった。

これらの仕事のほかに空き缶の選別もおこなった。空き缶を手作業で選別するのは、空き缶を選別する機械が故障しており、離島であるために速やかに修理することや選別を業者に委託することができないためであった。この問題は、比較的大きい島だから直面し得る問題というものではないであろうが、本土と離島の違いを新たに1つ学ぶことができた。

以上が私が与論町役場環境課で体験させていただいた仕事である。比較的単純な作業が多く作業の種類も少なかったが(だからこそ私の性格に合っていると感じたのだが)、作業の意味を考え、問題意識を持ちながら働くように努めた。

与論献奉で苦手を克服
就業初日、職場の皆さんが歓迎会を開いてくださった。初めての与論献奉はこのときである。

与論献奉とは、客人を歓迎するための与論島ならではの伝統儀式である。儀式といっても堅苦しいものではない。まず、「親」役の人が参加者の一人にお酒を注ぐ。注がれた人は、ひとこと(自己紹介など)を述べてからお酒を飲み干し、「とーとぅがなし(ありがとう)」と言って杯を親に返す(飲めなければ飲まずに返して親に飲ませてもよい)。これが参加者全員に対しておこなわれる。注ぐお酒の量の調整が親の腕の見せどころとなる。最後に親以外の人が親にお酒を注いで、親としての役割は終了となる。多くの場合、これが親が交代して繰り返される。

ここで、このレポートをご覧いただいている方はこのようなことを思っているのではないだろうか。「この儀式がなぜ苦手の克服につながるのか」と。これに答えるためには、まずは私が何を苦手としていたのかについて知っていただく必要がある。先述のように、大学に入学してから現在まで長期休暇の度に離島を訪れている。このなかで浮上した私の短所が、コミュニケーション力が不足していたことである。このことが私が苦手としていたことである。ではなぜ与論献奉でこれを克服できたのか。それは与論献奉では杯がまわってくる度に話す機会が与えられ、発言を求められるからである。与論島に到着してすぐの頃はうまく話せなかったが、毎晩のように与論献奉に参加していたため、コミュニケーション力の不足を一挙に克服できたのである。

与論献奉に話を戻そう。与論献奉には、普通、「島有泉」(与論島で製造されている黒糖焼酎)という度数が20度の黒糖焼酎が使われる。度数は高いが、すっきりした味わいで飲みやすい。自分がお酒に強いことに気づいたのも与論献奉のおかげである(実を言うと人生で初めて酔って記憶をなくしたのだが、迷惑はかけていないようである 笑)。何はともあれ与論島の皆さんや第2タームの仲間には心から感謝している。とーとぅがなし!

さらに学びを深めるために
寺崎海岸の別の写真。上の写真と同じく、カメラの性能不足により綺麗な海岸を綺麗に撮れなかったのが残念。

現在、私は高知県内の大学にてこのレポートを書いている。今回の島キャンで学んだことをもとに高知でできることは何なのか。もちろん与論島をPRすることも大事だと思っている。だが、それよりも大事なことは、高知の文化や歴史について深く知ることであると考えている。また、離島についての理解をさらに深めるため、次回の春休み以降も、さらなる別の離島を訪れ、島民とかかわる形で滞在したいと考えている。そのときまでに高知の文化や歴史についての知識を深めておけば、得られるものはさらに多くなると確信している。そして、最終的には与論島に移住することも考えている(次回の春休み以降に訪れた離島を気に入り定住する可能性もあるが)。

ここまで、「与論島で学んだことと成長したこと」というテーマで、他の島キャン生のレポートと比べて堅い内容のレポートを書いてきたが、私が与論島で得た最大のものは、学びでも成長でもない。それは思い出である。今年の与論島第2タームのメンバーは最高に仲が良く、仕事も余暇・休日も充実した2週間であった。

与論島のダイビングスポット、海中宮殿
海中宮殿の写真と同じく、私のカメラで撮ったものでない写真は綺麗
帰りの飛行機から撮った与論島の全体写真