「気づき」を大切にした喜界島での2週間
喜界島で二週間働いてみて、特に大切にしなければいけないと感じたのは仕事をする上での信頼関係という事だった。様々な就業内容がある就業所であったが、私たちのタームでは、主にカフェでの勤務が中心であり、会計、ドリンク、フードとカフェ全般の業務を就業させて頂いた。そのため、飲食業でのアルバイトの経験が無かった私はミスをしてしまう事が何度もあり、また、初めのうちは業務をこなすことに精一杯になってしまい、お客様とのコミュニケーションがなかなか取れずにいた。しかし、せっかく離島という地に来たからという事でお客様との会話は勿論大切なことではあったが、働かせて頂いているという事で何よりも島キャン生や就業所の方との信頼を築くことが第一だと感じた。ミスをする私に対してフォローをしてくれた島キャン生の2人や研究所の仕事以外にも気遣ってくれた優しい就業所の方々。自分にできることは何だろうかと考えることが多かった。そこで、ポスター作りや、自分たちでカフェに置いてもらえるような風鈴などの雑貨を作ることによって他の島キャン生と協力し合いお役立ちしたいという思いを形にできた。
島に住んでいる方たちが皆さん揃って仰ってくれたのが、若い人たちがこの島に来てくれてうれしいとのことであった。しかし、その後に続くのはこんななんにもない土地に何しに来たの?であった。稀少な隆起サンゴ礁で形成された島で、シュノーケリングをするにはぴったりな海もきれいな喜界島である。そう言っている現地の人たちに対して、この島にソトから来て定住している所謂Iターンなどの方たちは、島の人たちが島の魅力を理解していないとも仰っていたのが印象的であった。仕事がお休みの日を利用して島を回ったのですが、ガジュマル巨木や鍾乳洞、歴史ある遺跡などが車を使えば30分で移動できる島の中にあった。その他にも、盆の時期にはお祭りなど行事が多く、盆踊り大会では、各集落で踊りが違っていたりなどしていて興味深く感じることもある。島の最高地点、七島鼻から眺めるとサトウキビ畑が広がる中に各集落が出来ている様子が見える。それを窺うと、集落ごとの独自の文化があるという事も理解できる。こういった島の魅力に気づき発信できるのは私たちのようなソトから来た人たちであるのだろうと身を持って経験した。
この島を訪れて1番強く印象的であったのが、子どもたちが明るく元気なことだった。私の出身は関東ながらも山奥でこの島の人口と変わらない小さな町であった。町にはスーパーがなく、何か生活用品を買うためには隣の市まで行く必要があった。そのため、車は必需品である。そういった点では、なんだか似ているような地元と喜界島。この島にあって地元には無いものって何だろうと考えた。それは、子どもたちの姿である。島に来て、就業所の近くには廃校を活用した学童や保育園があり、またサンゴカフェ来てくれるお子さんの姿を見て、意外と子どもが多く感じますと就業所の方に聞くと、この島には子どもと高齢者が多いんだと教えてくれた。高校の卒業を機に島外へ出ていく人が多いと聞いた。高校卒業を機に離れる人が多いというのは私の町も一緒であったが、子どもが多いという点は違っていた。とはいっても9校あった小学校は2校になったという。それでも町中に元気に活動する子どもたちの姿があるとそれだけで明るくなった。元気なのは人口の流出が問題になっている点が地元と共通していたが、子どもの姿があるとないとではこんなにも町の雰囲気が違ってくるのかと気づいた。