来々夏ハウスでの常夏生活
来々夏ハウスでの業務内容は主に調理補助と食事の運搬、客室等の清掃でした。何日か経ち気付いたことがありました。お客様に心地よさを感じてもらうための工夫です。例えばお食事の際には体格や年齢から量を調節したり、食事の進み具合を見て次の料理を提供するタイミングを計るよう教えてもらいました。また、リピーターのお客様の食の好みを把握してメニューを調整している場面も。毎日同じことの繰り返しのように見えて一人ひとりに合わせたおもてなしを心掛けていることが日々わかりました。
お客様との会話を大事にするご主人の昭海さんの気さくな人柄も魅力的でした。「来々夏ハウスに泊まったのは1日だったけれど、大好きな場所になりました」というお言葉を聞いたときにはリピーターが多いことも納得でした。来々夏ハウスにはおいしいごはん、綺麗な景色、のんびり流れる時間、また会いたくなる人たち、と人々を引き付ける様々な要素がたくさんありました。
島生活で最も印象的だった出来事の一つが豊年祭です。毎年旧暦の8月15日頃に集落ごとにおこなわれるお祭りです。豊作を願って豊年相撲を取ったり縁起物のおにぎりを指す“ちからめし”が振舞われたりします。
来々夏ハウスから程近い渡連集落の豊年祭には、お手伝いのみがきさんと一緒に行き、地元の人が集まるテントの最前列に並んで座りました。とても楽しかったです!お祭りの最中、島ならではの慣習や出し物の意味を教えてくれたり、司会の方がときどき話す島言葉を通訳してくれたり。会う人みんなに「わたしの孫よ」と冗談交じりに紹介してくれたことも嬉しかった。
現在は加計呂麻島を離れて暮らす人や、加計呂麻島が祖母の出身地だからという若い世代の方もこの日のために遠方からいらしていました。島民の方はもちろん、他にも島にゆかりのある大勢がこの日を大事に思っている、たった1日でもこうして一堂に会して楽しい場を共有することが島の文化と人のつながりを守っているのではないかと思いました。
今回、加計呂麻島第4タームの島キャン生はわたし1人でした。就業前はそのことを不安に感じていたのですが、1人だからこそ過ごせた良い時間がありました。島の方やお客様と近い距離でお話しできたことがわたしの島キャン生活を充実させてくれました。ある地元の方は船で釣りに連れて行ってくれて、自分で釣った魚を夜ご飯に食べるという人生初の体験をしました。一人旅のお客様とは夜遅くまでおしゃべりをしたり、一緒に島内をまわったりといくつもの素敵な一期一会がありました。
また、この期間を通して自分でできることが増え、自分の新たな一面も発見できました。掃除や洗濯など身の回りのことを面倒くさがらずにできるようになりました。生魚に触れることや大きな虫に出くわしても意外と大丈夫な自分がいることも知りました。コンビニもない、信号もない、友達もいない、、ないない尽くしに感じていたこの島を「また来ます」と言って帰ってこれたことが良かったです。