沖永良部島で過ごした夏休み
夏の2週間の島キャンが始まる前、希望の就業先を決めるために就業先一覧を見ながら悩んでいました。就業先一覧を眺めていると「山下ファーム:就業内容エコツアーガイド」と書いてありました。その時の私には「エコツアーガイド」という言葉は初めて聞いた単語で、就業内容がまったく想像がつかず「何をするんだろう?」と疑問しか浮かばなかったのを覚えています。島キャンでの2週間を振り返ってみると、就業先の山下さんに連れられ、島の動物や植物、観光スポットの歴史や地理学的な知識を織り交ぜながらの案内など、それが「エコツアーガイド」だったと知りました。自分の島での経験や知識を交えながら、島の魅力を島外の人達へ伝えていく。他人がやろうと思ってもここまで詳しく沖永良部についての魅力を伝えられない、山下さんにしかできない仕事だと感じた2週間でした。
島キャンの目的である「島おこし」の元をたどれば島の人口減少によるもので、観光や島キャンを行うことで島を盛り上げようというものです。その理由を沖永良部島に到着する前から聞いていたので「どれくらい人口が少ないんだろう?子供が少ないんだろう?」と気になっていました。就業2日目から田皆小学校で行われた小中学生合同のキャンプに参加させていただきました。そこで見た現状としては、小学校は人数が少ないため複式学級を導入していました。高校進学では島外の高校に進学するため、中学生の3分の1程度は島を出て行ってしまうそうです。また、高校は地元に残っていても大学進学や就職で島を出て行ってしまうこともあるため、若い人達がいなくなってしまうと島民の方が言っていました。町長選挙の挨拶回りを見学させていただいた時も、挨拶で目撃するのは40~50代以上の方が多く、高齢化が進んでいる印象でした。観光としても隣の与論島ほど成果が出ていないとも言っていました。そんな一面もありますが、小中学生合同のキャンプでは全校生徒の人数が少ないためか、小学生の低学年から高学年、小学生と中学生のみんなが仲良しで、年上が年下の面倒をしっかり見るなど、これがまた島の温かさであり、魅力でもあると感じました。
島キャンでの2週間を振り返ってみて「得たものはなんだろう」と思い起こすと、本土と島の気候や風景などの環境の違いはもちろん、島民の訛りや独特の雰囲気など色々な違いがありました。島や島民から得たものもたくさんあります。ただ、私自身としては他大学の島キャンメンバーと交流ができたことが1番の大きな刺激でした。年齢的にも「沖永良部島 第2ターム」では最年少の大学2年生だったこともあり、周りは同期か年上しかおらず、将来の夢や価値観、今まで経験してきたことなど沢山の話を聞けました。今までは同じ大学内での先輩後輩の多学年との交流はありましたが、全国の他大学の学生と交流を持つ機会がなかったので、2週間島キャンメンバーと触れ合うのが自分の価値観に刺激をくれました。他大学の学生と交流をするのが目的であれば島キャンじゃなくても良いではないかと思うかもしれません。ただ、離島に2週間就業して、島キャンメンバーで、同じ島で、同じタームで、今回一緒に沖永良部島に行けた偶然が重なったことで得られた経験であって、島キャンが私自身のターニングポイントになったことには違いありません。まだまだ世間的には知られていない沖永良部島の魅力を少しでもたくさんの人に広げることが今回得た経験の恩返しだと思っています。