第二の故郷 <奄美大島・国直>
SUPやシュノーケリングの補助は、一見すごく楽しそうに思えますが、かなり体力勝負です。普段運動をしない私の体には結構こたえました。SUPのボードは重くて全然持ち上がらないし、船に乗ったら船酔いで吐きそうになってお客さんに心配されるし、全然力になれなくて落ち込むこともありました。でも代表の修さんはじめ、島の人は優しい声をかけてくださったので、「自分にできることを頑張ろう」と考えるようになりました。
また、私がいる期間、台風が奄美大島に直撃して1日半の停電を経験しました。台風のあと浜の掃除をしていたら、集落の人が次々と集まってきて、掃除を手伝ってくれました。「私たち観光客がいつも綺麗な海を見ることができるのは、こういう島の人の努力があってこそなんだな」と、改めて感じることができました。また集落の人が「綺麗な浜を自分たちで守っていこう」「助け合いの精神を持とう」と考えて行動しているのも素晴らしいなと思いました。
そして、私が島キャンに参加する前と大きく考えが変わったことが一つあります。以前は「観光によって地域を活性化していくことが必要だ。私がコンサルになったら、日本中の過疎化する地域を観光の力で元気にしたい」と考えていました。しかし今回国直という小さな集落で過ごしてみて、集落全体で観光客を受け入れることの良さも学びました。全然観光地化されていなくて、言語対応も整っていない、宿泊施設も少ない。ですが、だからこその"良さ"がありました。英語が通じなくても身振り手振りでSUPのやり方を伝え一緒に楽しみ、夕暮れ時は浜に集まりビールを飲む。こういうあたたかくて心落ち着く空間が、訪れた人の心を掴むのだなと思いました。
また、島の人は奄美を誇りに思っていて「自然や伝統を自分たちの手で守り、後世に伝えていきたい」と強く考えているということがわかりました。観光客が増えることはもちろんプラスなことも多いですが、環境破壊や地域住民の暮らしが壊れるなど、マイナスな側面もあります。観光と環境のバランスを取りつつ、今ある奄美の姿をずっと先の世代まで伝えていけるよう、島の人だけでなく観光客も自分ごととして考える必要があると感じました。
奄美大島は集落ごとに分かれていて、その中で行事やお祭りをおこなったりします。私が今回お世話になったのは、116人から成る国直集落。
集落内で顔を合わせると、必ずみんなニッコリ微笑んで「こんにちは」と挨拶を交わし、そこから話が盛り上がることもありました。
そして、夕暮れの時間になると、みんなビールを片手に浜に集まってきて、色々な話をします。第一回目参加したときは少し緊張しましたが、すぐ打ち解けて国直のおじちゃんたちと仲良くなりました。海にまっすぐに沈んでいく夕日を眺めながら語らう時間は、何にも変えられない特別な宝物です。
私が国直で生活していて思ったのは、集落全体が大きな家族みたいだということ。「〜兄」「〜姉」って呼びあったり、「今日はうちに泊まっていきな」って言ってくれたり。とにかくみんなあたたかくて、優しいんです。
私は生まれてから22年間、ずっと東京で育ってきました。便利で何でもすぐ手に入る都会は一見魅力的に思えますが、人と人とのつながりを感じにくいと日々思っていました。だからこそこの国直でのあたたかい交流は、本当に嬉しく楽しかったし、これからも一生続けていきたいと思っています。
特にお世話になった、TAMASU代表の中村さんご夫妻。ごはんを一緒に食べ、テレビを一緒に見て、お酒を飲んで、色々な話をしました。自分の両親と年がほぼ一緒ということもあり、本当の家族のように思っています。かけがえのない時間をこのお二人と過ごすことができて本当によかったと思っています。
国直愛を語り始めたら止まらないし、思い出すと今でも恋しくて涙が出てきます(笑)
第二のふるさと、第二の家族と呼べる場所ができました。出会ったすべての方に感謝です。
休みの日は、ばしゃ山村で働く仲良しの友達とヒッチハイクで出かけていました。
最初は緊張しましたが、島の人は優しい人ばかりなので、初めてのヒッチハイクはかなり順調に進みました!
オススメのお店や場所を教えてくれたり、島唄を歌ってくれたり、方向が違うのにわざわざ乗せてくれたり。何度も島の人の優しさに助けられました。
そういう姿を見て、「私も困っている人がいたら親切にしよう」「思いやりの気持ちを忘れないようにしよう」と、大切なことを改めて考える機会にもなりました。
島での生活は、普段忘れかけていることに感謝したり、自分を見つめ直すことができます。
最後に、私が大好きなひろゆきおじいちゃんが言ってくれた言葉を書きたいと思います。「そのとき辛いことがあっても、それもすべて経験になる。落ち込んでもいいから、なるべくはやく前向きに考えて立ち直ろう。もしそれでも辛かったら、また奄美に来ればいいよ」