島キャン実施レポート

沖永良部島での日々を振り返って

2018年夏 沖永良部島
おきのえらぶ島観光協会
8/3~8/14
慶應義塾大学/商学部  井下田 洋輝
色々ありすぎて整理しきれない!!
観光協会での仕事
祭りの写真。初めてさらしを巻いて、ねぶたを引っ張った!

自分は、一つの決まりきった仕事ではなく、幅広い仕事ができ、色々な人との出会いが多い、「島おこし」をするのに最も影響力の大きな組織でありそうだという期待から、おきのえらぶ島観光協会に就業しました。

意気込んで臨んだおきのえらぶ島観光協会での島キャンは、いい意味でも悪い意味でも期待を裏切られたような気がします。関わった仕事としては、予想通りかそれ以上の業務がありました。箇条書きにすると、祭りなどイベントの手伝い・ちゅら玉づくりの指導・お土産品の販売・アンケート配り・スタンプ押し・シール貼り、などです。以下では、数ある仕事の中で印象に残った、1面白かった仕事、2やや期待はずれだった仕事について書いていきます。

 

1.面白かった仕事

自分がした仕事で面白かったのは、祭りの準備とちゅら玉づくりの指導をする仕事です。

まず祭りの準備について。 今まで祭りは楽しみに行くものでしたが、ねぶたの点検・準備をし、そのねぶたを自分たちで引っ張るといった祭りを陰から支える仕事に関わりました。この仕事を通して感じたのは、自分が主体的に関われば関わるほど、祭りが盛り上がると嬉しいし、自分自身も楽しめるということでした。恥ずかしがって「わっしょい」の声を出すのと出さないのとでは、一緒にねぶたを引っ張る人との一体感や、祭り独特の高揚感が大きく違ってくるのではないでしょうか。

また、就業先の人に連れていってもらった、祭りの後の打ち上げでは、漁師と農家を兼業している方や、居酒屋のマスターさん、Iターンをしてきたケーキ屋さんの方とも知り合え、とても優しくしていただきました。しかもそのうちのお一人とは、SNSを交換してたまに連絡をとるほど仲良くなれました。(向こうの方もそう思ってくれてるといいな笑)

次に、ちゅら玉づくりです。作ったちゅら玉は、小さいガラスの球体の中に、流し込んだレジン液を固めたストラップです。(レジン液が紫外線と反応して個体になることを利用するのだそう。) 長らく何かを工作するということはやってこなかったので、今回のちゅら玉づくりで久々に、小学校の図工をやっていた頃のような童心に戻りワクワクしました。また制作時間は一時間ほどで、他の業務に比べ観光客の方々と長く関われるので、どこから・何を目的にいらっしゃったのかなど、世間話ができました。さらに、肌感覚として大阪や鹿児島からの観光・帰省の人が多いことに気づき、今後観光を発展させていくなら、それ以外の人が来たくなる誘因がもう少し必要なのかなとも思いました。

2.やや期待はずれだった仕事

島でのお仕事はもちろん楽しいだけではありませんでした。自分の場合は、アンケート配り・スタンプ押し・シール貼りが少し苦痛に感じました。というのも、これらの仕事はやろうと思えば自分の地元でもアルバイトとしてできるものであったからです。せっかく貴重な時間を割いてやるのだから生産性を高めようと心がけていましたが、一人でおこなう作業であったので、寂しさとなんとも言い難い気持ちになりました。このような仕事を楽しくできるようなアイディアが浮かべばよかったのですが、ただ盲目的に仕事をこなしてました。しかし、あるとき沖永良部高校の先生の一人が、研修として観光協会で就業しにいらっしゃった際に、お話しをしながらシール貼りの作業をし、とても楽しくできたので、働く環境も中長期的には大切になってくることを身をもって実感できました。

そして最後、就業最終日に「せっかく来たのに新しいことを何もできなかった。」という旨の話を就業先の人にぼそっとお話したところ、その方は、「島に来てすぐに新しいことをやるのは難しいことですよ。何事もまずは信頼が必要ですから。特に島ではお互い何年も関係が続くので、信頼関係を大切にしなくてはいけません。」とアドバイスしてくださいました。その人はIターンしてきた方なのですが、島に来てから今まで信頼関係を築いてきた結果、今では町長といった重役の人とも仕事ができているとおっしゃっていました。しかも大きすぎない島であるため、新たな取り組みをかなりしやすい環境だそうです。このように島の人から、離島と本島との大きな違いを、意識してなかった観点から教えていただけてよかったです。

離島に来て驚いたこと
与論島の島キャン生と。帰りのフェリーでは、この日会えなかった島キャン生とも会えました!

観光協会で働いていたことに加え、民宿に泊まっていたお陰でより面白い話が聞けたと思います。というのも民宿には、島一の物知りの方や、警察の方、個性豊かな観光客の方々がたくさん訪ねにいらっしゃって、普段は主に大学生としか交流のない自分にとって、とても刺激的だったからです。出会った人についてそれぞれエピソードを書いていくのもいいですが、今回は島に来て驚いたことを中心に書いていきます。

まず、沖永良部島ではなにが有名かというと、今年2018年の大河ドラマ「西郷どん」をご覧になった方もいるかもしれませんが、沖永良部島は西郷隆盛が、島流しにされた島として知られています。もっと詳しい説明もできるとは思いますが、そこはGoogle先生にお願いします(笑)。
人口は約1万3千人で、約33万7千人の新宿区と比べると30分の1ほど。よくも悪くも島の人はお互いのことをよく知っています。しかも、近くの島の人ともつながりが強く、心優しい人ばかりです。(島キャンのネットワークも活用されているのかも!あと、ある島から別の島へ移る人もいるらしい。)
実際に、天候の影響で沖永良部島を抜港し(波が荒く、港に船をつけられず、島を通りすぎること)徳之島に一泊しなければならなくなったとき、すぐに知り合いと連絡をとって宿の手配をしてくださいました。しかも、徳之島の方は車で観光案内までしてくださいました。

他にも、休みをいただいて与論島に行ったときには、ちょうど島キャンの事業所が歓迎会を開くタイミングで、運よく与論の島キャン生と大学のゼミ生に混ざって与論献奉をしました。自分自身、お酒は強くない方なので与論献奉を恐れていましたが、優しく接してくださり歓迎会を楽しめました。

徳之島、与論島のことももっと書いていってもよいのですが、これからは沖永良部島で体験したことに絞って書きます。

まず驚いたのが、交通手段についてです。沖永良部島には電車がないうえ、バスも深夜には運行していません。島一周を車で、約1.5~2時間ほどかかるので、移動には車・バイクが欠かせません。自分の場合は原付を借りることができたので、移動手段に困りませんでしたが、宿舎が市街地から離れていたため、飲み会に参加したときはタクシーを使わねばならず、お財布への負担が少しありました。(笑)

また、免許のないほかの島キャン生は、空いた時間に島内観光へ行くこともできず大変そうでした。個人的には車通りも少なく、道も整っていたのでドライブしてるだけでとても楽しかったです。

ただ、ドライブは楽しかったものの問題がひとつありました。それは、コンビニやスーパーの立地やガソリンスタンドの営業時間についてです。コンビニは、ファミリーマートやローソンなど有名なものでなく、RICマートという個人経営と思われるショップのみで、スーパーもAコープというものが島内に二ヶ所あるだけでした。場所が遠かったり、営業終了時刻が早かったりと先を見越した行動が大切なのだと学べました。


次に驚いたのが、島での生活は、良くも悪くも自然に左右されるということです。自分自身、行きのフェリーは波が荒かった影響で、沖永良部島に停泊できませんでしたし、帰りの日にちを1日早めていなかったら、台風の影響で沖縄発の飛行機に乗ることもできませんでした。ほかにも、島の主産物であるとうもろこし・じゃがいも・きくらげは、その年の天候によって豊作か不作かが決まります。(きくらげはハウス栽培なので天候の影響は他の2品に比べたら少ない)このように自然が懸念材料となる一方で、沖永良部島らしさを象徴するのも自然です。フーチャや日本一のガジュマルに昇竜洞、田皆岬にワンジョビーチを始めとする数えきれないほどのビーチ。沖永良部島の名所のほとんどが自然がつくりあげた風景です。(掲載できる写真に限りがあったので気になる人は調べてみてください。)
他にも、島の動植物や観光名所、島人の事情を教えてくれる方、祭りで知り合い、その後も連絡先を交換させていただいた方、Iターンで沖永良部島で働いている方、地元の高校の先生、取引先との取材に同行させてくれた方、などなど、色々なバックグラウンドをもつ人たちと交流できました。普段とは違う環境での生活はとても刺激的で、自分の住む東京に比べて、島の人同士お互いのつながりが深く、お互いを知りすぎているがゆえに仲が良いことも、お互いを嫌悪してしまうこともあることを体感できました。しかし、インターンが終わって1ヶ月がたった今でも、学んだことの整理ができてないような気もします。(この文章を書き上げるのも期限がすぎてしまいました。)せっかく2週間近く新鮮な経験ができたので、この経験を糧にできたらと思います。

最後に

思い付いたことを順番に書いていったので、沖永良部島で過ごした日々についてうまくまとめることができませんでした。このような経験はなかなかできないと思うので、時間を見つけて、自分のSNSなり、ブログなりに書いていけたらと思います。もし気になる方がいましたら「沖永良部島」でも作成者の名前でも検索してみてください。(ここに書くことで経験を文字に起こさなければならない状況をつくってみた笑。10月終わるまでにがんばります。)

シール貼りの様子。電話番号を訂正した。
フーチャ(潮吹き穴)
日本一のガジュマル