島キャン実施レポート

ありがとう!与論島!

2023年夏 与論島
ヨロンまちづくり協同組合
8/29~9/11
琉球大学/国際地域創造学部  冨 裕稀
出会いと学びと憩いの場所~与論島が教えてくれたこと~
2週間のインターンシップを終えて
ヨロンまちづくり協同組合!お世話になりました!

絵にかいたようなエメラルドの透き通った海と真っ白でふわふわの砂浜。見渡す限りのサトウキビ畑と夏の青い空。就業初日、フェリーから最初に与論島が見えたとき、私は、こんな綺麗な場所が本当にあるのか。と思わず息を飲みました。

 8月29日から9月12日の2週間、私は、島キャン生として「ヨロンまちづくり協同組合」さんにお世話になりました。

 大学3年生になって、思い返してみると、コロナウイルスの影響もあって大学生活のほとんどを何もせずに過ごしてきたなと感じていました。それと同時に周りの友達が就活を始めていて、正直焦りを感じている部分もありました。そしてもうひとつのきっかけは、私は地元が奄美大島で、離島の観光やまちづくりに興味があったことです。そのとき「離島 インターン」「離島 地域活性化」でネット検索をしていたとき見つけたのがこの島キャンでした。私は、昔から新しい環境に飛び込んでいくことが苦手な性格で、今まで何か新しいことに挑戦したり参加したりすることに対して臆病になっていたり避けていたりした部分がありました。しかし今思い返すと、この島キャンに参加しようと思ったことが私にとってとても大きな決断だったように思います。

 「ヨロンまちづくり協同組合」は、与論島で人材が不足しているスーパーや介護施設、宿泊施設などと、与論島に移住したい、与論島で働きたいという人たちをマルチワーカーとして繋いで、移住促進や人材派遣などを行っている会社さんです。私たちは、そのお仕事の一部として、SNSの立ち上げやマーケティング、チラシや広告、名刺の編集やデザイン、移住者や地域の人たちへのインタビューとフリーペーパーの作成などに携わらさせていただきました。とても大変な仕事でしたが、それ以上にとても魅力的な仕事だなと思いました。まずは地域のことを知ること、そしてそれらを自分ごととして熱意を持って取り組むこと、そして、それを多くの人にできるだけわかりやすく伝えること。動画や写真を選んだり、デザインを選んだり、言葉を選んだり、思っていた以上に苦戦したし、正解やゴールというものがないからこそ難しいし、それと同時にとても面白い仕事でもあるなと感じました。観光やまちづくりという仕事により魅力を感じたし、今後、将来、「島のために何かしたい」という想いがより一層強くなりました。

「何もない」ではなくて「見えていない」与論島の魅力
百合が浜!ドローンで空撮して貰いました!

「与論島の魅力」、「与論島らしさ」とは一体何だろうか?

私は離島の出身で、普段は離島の観光や地域活性化について学んでいます。たしかにそれも大事なことですがそれはあくまで形式的なことに過ぎません。島には映画館もショッピングモールもない、電車もないし、飛行機や船でいくことすら大変な場所です。そんな場所が人を惹きつける理由は一体何だろう?海が綺麗、百合が浜が綺麗、鶏飯が美味しい、そんな浅いものだけだろうか?

生きた学びをしたい!離島という場所が持つ魅力を再発見したい!それが私が島キャンに参加したもう1つの目的です。

私が与路島に2週間滞在して感じたこと、それは与論島の目には見えない魅力です。

朝自然に目が覚めて、疲れたから眠って、苦労して工夫してみんなで魚や貝を採ってきて、それをみんなで捌いて、食べて、話して、お酒を飲んで幸せな時間を共有して。島の中で全て揃う訳ではないけど島にあるもので協力して工夫して家を建てて、道具を作って、苦労して野菜を育てて魚を採ってきて、自分の命を守るために危険な生き物や場所、時期を知ったり、それを家族や地域の人から教えてもらったり、自然を守って次世代に残すために、必要な分だけを採ってきて、小さな魚は海に返して、みんなで助け合って生きていくために採れた魚をおそそわけして、おそそわけしたら今度は採れた野菜を貰ったり。何もない小さな島だからこそ、そこには普段私たちが忘れかけている愛情や助け合い、知恵や工夫、苦労をする喜び、そして癒しが残されていました。現に与論島にいた2週間、スマホを触ったり、テレビを見ていたりする時間がもったいないと思うほど毎日が楽しくて、そしてとても充実していました。それは恐らくそこにやりがいや幸せのようなものを感じていたからだと思います。

そして、与論島には何気なくふと空を見上げる時間、海を眺める時間、夕日を眺める時間、星を眺める時間があります。空気を吸って、土に触れて、海に入る時間があります。波の音と動物の声だけが聞こえてくる。道路の真ん中で野良猫が寝ていたり。そしていつの間にか時間が過ぎていたり。そんな時間が幸せで都会にはない特別な時間です。

幸せや高級というものの多くは誰かが決めた価値観に過ぎない。それを今まで疑うこともなかったし、気にすることもありませんでした。忘れかけていた大切なこと。それはお金に換えられるようなものではなく、人や自然が持つ癒しの力や、自分でやり遂げたときの達成感、お金云々を越えたホスピタリティのようなものです。自然と関わる幸せ、地域の人や友達・家族との何気ない生活空間・助け合い、自分だけの娯楽や楽しみ、知恵や学びを得る面白さ、苦労や工夫をする大切さ。それに気づけたことが私にとっての大きな財産です。

出会いの場所、学びの場所、癒しの場所、憩いの場所。おそらく与論島の魅力は美味しい食べ物や観光地、アクティビティだけではなく、もっと深い、目には見えない部分。そこにある自然や人が創り出している空間。不思議とまた帰ってきたくなる場所。そんな部分にあるのではないかと私は感じました。

 

ありがとう与論島!また必ず戻ってきます!
事業所前のビーチ!ウミガメが出没することも!?

私のこれからの目標は、今度は離島の魅力を自分が伝える立場の人間になることです。大学生や子供たち、観光客にそのような魅力に気づける機会を提供したい、島キャンを受け入れる側の人間になってみたいです。ただそれは、おしゃれなカフェを建てたり、美味しいお土産を開発したりすることでも、フォトジェニックな場所を作ったり、リゾートホテルを建てたりすることでもありません。それはあくまで手段に過ぎず目的ではないと思います。自然に癒されて、人に癒されて、また人や自然に恩返しをしたりすること。自然とともに生きて、自然とともに生きること。それはここにしかない魅力であり、ここにしかない知恵や教養であり、ここでしかできない体験であると思います。ところが今はどうしても都会の方が優れている、進んでいるという価値観があります。そして大切な文化や自然が失われつつあります。与論島に残されている自然との関り方、家族や地域の人たちとの生活空間は、それはむしろ私たちが忘れかけている持続可能な社会のモデルそのものではないかと私は思います。

大事なのは当たり前にそこにあることをなぜそこにあるのか、どういう意味があるのか疑ってみること。どういう風に考えているのか想像してみること。それらをもっと深く知って、学んで、感じて、そしてそれらにどうやって付加価値を生み出していくか、魅力的に伝えていくことができるか、一人でも多くの人に知って貰えるかを考えていくことが私のこれからの目標です。

最後に、今回島キャンを企画していただいたカケハシスカイソリューションズの皆様方、私たち島キャン生を快く受け入れてくださったヨロンまちづくり協同組合の力さんや峰子さんをはじめ与論島の皆様方、本当にお世話になりました。2週間のインターンシップを通して、自然の豊かさや人の温かさに触れて、数え切れないほどの価値観や学び、気付き、刺激を得ることができました。BBQやタコパを企画していただいたり、サップやシュノーケル、天体観測に連れていっていただいたり、ほぼ毎日レベルでの飲み会や与論献奉など、本当に一日残らず充実していて楽しかったです。この島キャンで学んだこと、得たことをこれからの学生生活や社会人生活に活かしていきたいと思います。そして与論島で一緒に過ごしたインターン生のみんな。ほぼ初対面だったのにめっちゃ仲良くしてくれて本当に嬉しかったです。みんなと出会えて本当によかったです。ありがとう!

また必ず与論島に戻ってきます!本当にありがとうございました!

与論島第3タームのクセ強めな仲間たち!みんなと出会えてよかった!
大金久海岸!ここの海の青さと透明度は唯一無二です!
皆田海岸!ここの星空は抜群に綺麗でした!