島キャン実施レポート

一歩踏み出した夏

2023年夏 奄美大島
ネイティブシー奄美
8/15~8/28
東京家政学院大学/現代生活学部  河上奈津希
新たに経験して学んだ2週間
島で学んだ「はたらく」ということ
働いたあとは満天の星空を見て元気をもらっていました!

 私は大学生になり、上京しました。東京で生活をしてみて、大きな気づきがありました。それは、地元の人たちの温かさや自然の魅力です。以前は、大学を卒業したまま東京で就職もありかなと思っていたのですが、いつしか地元で就職したいという気持ちが芽生えていて、私の中には「故郷」を大事にしたい、少しでも貢献したいという気持ちがあることに気づきました。そんな中、インスタグラムで島キャンのページを見つけて、地元に来たお客様が信頼できる環境づくりや、細やかな心遣いを直に学びたいと思いました。私の身近にも島育ちの人がおり、特に島には人情を大切にして、その地に誇りを持っている方が多いというイメージがあり、また、母が子供のころ奄美大島に住んでいたことを聞いていてずっと行ってみたいと思っていたのでこれは今回行くしかないと思い、思い切って応募しました。このような経験は初めてだったので不安でしたが、参加を決意した自分にありがとうと言いたい、そんな素晴らしい経験になりました。

 私は、奄美大島のネイティブシー奄美さんでホテルのルーム清掃とレストランのホールを担当させていただきました。2週間のうち10日間が就業日で、最初の5日間がルーム清掃、残り5日間がレストランのホールというスケジュールでした。個人的に旅行に行くこと、ホテルや旅館に宿泊することが好きですが、働く側に立つのは初めてでどちらの仕事も全く経験がなかったので、学ぶことがたくさんありました。ホテルのルームが奇麗に保たれているのは、清掃スタッフの方が毎日全身を使って汗を流しながら隅々まで奇麗に掃除されているからだと気づき、お客様の見えないところで働く仕事の凄さを感じました。レストラン業務は、覚えることがたくさんあり、忙しくもやりがいのある業務でした。アルバイトで接客の仕事はしたことがあったのですが、レストランでの接客は初めてで、出来上がった料理を運んだりお皿を下げたり、メニューやドリンクの作り方を覚えるなど、お客様に接するときの気遣いのほかに、料理を運ぶ時の慎重さなどいろんなところに注意を向ける力が必要な仕事だと思いました。この短い間でも、アンテナを張って自ら動けるように心がける力がついたなと感じています。

 そして今回、ネイティブシー奄美さんで就業している中でたくさんの人に出会いました。生まれてからずっと奄美大島で暮らしているスタッフの方、奄美大島が好きで県外から働きに来ている方、奄美大島に帰省して働いているアルバイトの方、観光で来ている方などいろんな人と出会い、お話をさせていただいて私の中で「はたらく」とは「楽しみながら人と繋がっていく」ということだと感じました。私は「はたらく」を知るために就業中は周りのスタッフの方の会話や雰囲気を意識して見るようにしていると、スタッフの方は皆笑顔で楽しく働いているという印象が強かったように思います。例えば、常連のご夫婦がいらっしゃった日があり、奥様のお誕生日だったということでスタッフの方と一緒に「お誕生日おめでとうございます。」と声をかけました。その時、楽しそうにご夫婦とお話をしているスタッフの方を間近に見て、お客様一人一人を大切にしながらコミュニケーションを取っている姿から、「はたらく」とはお金を稼ぐこと以上の価値があるのだと感じました。お客様との繋がりだけでなくスタッフの方同士の繋がりも大切にしていることがわかりました。休憩中には世間話もして気軽に話せる雰囲気を作っていて、これが楽しく働いていける理由なのだと感じました。「はたらく」とは「楽しみながら人と繋がっていく」ということ、これを将来の仕事でも感じられる場面がたくさんあるといいなと思います。

心が温まる場所
体験させていただいた三味線と太鼓

 奄美大島にはたくさんの集落があり、それぞれの集落に文化があるということを学びました。休日には、奄美大島の風物詩である八月踊りの練習会に参加させていただきました。この八月踊りは、太鼓や三味線の音色に合わせて唄って踊る行事です。この練習会では、踊りのほかに太鼓や三味線も体験させていただきました。このような地域でのお祭りはあまり参加したことがないのでとても貴重な体験になり、奄美大島をさらに好きになるきっかけになりました。島の方から、この八月踊りは唄が同じでも各集落によって踊り方が違うということを聞きました。私の地元や東京ではこのような集落がないので、集落が存在する島ならではの人の距離感を感じることができました。近所の方々がまるで家族のように集まってお話をされているところを見て、人との繋がりを大切にされているところや、皆さんの優しさや温かさを実感することができました。島の方々は、文化や自然のことなど奄美大島について笑顔で楽しそうに話してくださって、地元のことが好きということがとても伝わってきました。地元が奄美大島のスタッフの方や住人の方は、私たちのような県外の人にも地元をもっと楽しんでほしい、知ってほしいという思いから、ちょっとした気遣いや環境づくりをしてくださっていて、私がこの島キャンで目標としていたことを直に学ぶことができました。

 また、奄美大島内は、車がないとなかなか移動するのが難しいことがわかりました。バスもありますがバス停に行くまでが遠く、少し苦労しました。しかし、これも都会では体験できない島の醍醐味なので、今となっては良い経験だなと思っています。また、就業先の方が「この日なら空いているから車出せるよ!」「この時間帯ならバス停まで乗せていけるよ!」など皆さん気さくに声をかけてくださったり気にかけてくださったりして、本当に優しい方々だなととても身に沁みました。特に休日はスタッフ方にお世話になり、一緒にあやまる岬に行ったり鶏飯を食べに行ったりして、奄美大島のことをたくさん教えていただき充実した日を過ごすことができました。

挑戦!
最終日に早起きして撮った朝日!

 2週間のホテル業務を通して、様々な業種に役立てられることを学べたと思います。滞在中には、奄美ビールのポップを作らせていただき、スタッフの方に何度も確認していただきながら作った経験は、社会人になってからも活かしていきたいと思いました。また、レストランでの接客業からも学ぶことはたくさんありました。私が目指す仕事でもお客様とコミュニケーションを取る場面が多いので、今回学んだ接客の技術を少しでも役立てられたらいいなと思います。

 慣れない島に行くこともそうですが、そこで働くという大きな挑戦を決意することは、私にとって大きな勇気が必要でした。しかし、挑戦してみて思ったことは、自分の意志で経験したことは、必ず自分を成長させてくれる財産になるということです。この2週間は、楽しいことももちろんありましたが、慣れないところなので大変さも経験しました。たくさんの人に出会うことで視野が広がって、自分を見直すきっかけにもなり、とても充実した日を送ることができた夏でした。

 そして今回は、インターンシップという自分が働く側となって奄美大島に訪れましたが、次は観光としても再度行ってみたいと思う場所になりました。スタッフの方や奄美大島に住む方とお話をしていろんなことを知れましたが、また訪れたときは奄美大島のどんな魅力に気付けるのかとても楽しみです。

休日に行ったハートロック♡
大島紬の機織り体験
就業先の方に案内していただいた   「元祖鶏飯みなとや」