愛すべき人や風景に
ゲストハウスでの仕事は主に洗濯、掃除がメインです。仕事内容としては家事とほぼ同じなため何も特別なことはないように見えます。ですが、枕や布団カバーの畳み方や置く向きに気を付けたり、水気を一つも残さないようシャワールームを水切りしたり、水回りの掃除をしたりする中で気付いたことがありました。それは当たり前な事を丁寧に行う大切さです。不思議なことに、毎日ゲストさんのためを思って丁寧に仕事をしていると、そのうちに自分まで気持ちが良くなり暖かい気持ちになりました。そして毎日家事をしてくれている母やホテルの清掃員さんに感謝が自然と芽生えました。
ゲストハウス奄美ロングビーチはたくさんの愛で溢れています。手作りのハウスには健おじのこだわりと愛がたくさん詰まっています。ゲストハウスにある電化製品や家具はゲストさんからの贈り物が多いです。健おじの人柄を気に入って何度もリピートしているゲストさんも多くみられます。健おじは毎日「今日が一番幸せだ」と本当に幸せそうな顔で言います。そしてゲストさんは「その言葉を聞きに来てるんだよ」と言ってまた笑顔になります。愛に溢れたゲストハウスは幸せの連鎖が繰り返されていました。情熱と愛を持って仕事をする人の周りには暖かい人の輪ができるのだなあと実感しました。
私は今回の島キャンが日本の離島に行く初めての機会でした。奄美に来てまず感じたのは手つかずの自然の豊かさです。はじめて奄美の海を見たときは、その青さと美しさに思わず声が出るほどでした。島の人々はその奄美の自然をとても愛していてまさに自然と「共存」しています。鳥の声で目を覚まし、窓を開ければ海の潮風が感じられ、仕事の休憩がてらビーチに行き、夜は満点の星空を眺める。そんな自然と一体化した島の暮らしにはゆったりとした穏やかな時間が流れていました。
また、私は2週間の滞在期間の中で台風も経験しました。台風に備えて奄美の建物は屋根が短くなっています。台風が来ると大騒ぎするニュースとは打って変わって、島の人はなにひとつ焦ることなく着々と準備をしていました。船が止まることを先読みして牛乳やパンを買い込み、防風対策を淡々と行います。自然は美しい風景を私たちに見せてくれますがそれだけではありません。時として自然災害のように牙を見せることもあります。しかし、島の人々はそんな一面も含めて自然を理解し「共存」しているようでした。島に暮らすということはそうゆうことなのです。
そして、島には小さなコミュニティだからこそ暖かい人とのつながりがあります。近所の人とはみんな顔見知りで、子どもが歩いていれば「お帰り~」と声をかける。そんなどこか陽気で気さくな島の人柄は豊かな自然がみせる穏やかな雰囲気と似ているなぁと感じました。
せっかくの長い大学生の夏休み。今しかできないことを何かしたいと思い参加した島キャン。この2週間は毎日が充実そのもので、私の人生の財産ともいえる貴重な時間となりました。
ゲストハウスは毎日ゲストさんが入れ替わっていくため、同じ場所で働いていてもゲストハウス全体の雰囲気や出てくる話題が毎日変わります。そして毎日新しい出会いがあり、別れがあります。ゲストハウスはホテルとは違って共同で使うスペースが多く、リビングでみんなで食事を囲むこともあります。そのため、ゲストさんとより深く関わることができ、たくさん仲良くさせてもらうことができました。私がこんなにも充実した時間を過ごすことができたのはすべてこのゲストハウスでの新しい人との出会いのおかげです。ゲストさんがカヌーに連れて行ってくれたり、ドローン撮影を経験させてくれたり、おいしいご飯屋さんに連れて行ってくれたり、ドライブに何度も連れて行ってくれたり、夕日や星を見に連れて行ってくれたり、観光名所を案内してくれたり、ギターの弾き語りを聴かせてくれたり、お酒を飲みながら貴重なお話を聞かせてくれたり等々。出会って良くしてくださった皆さんには感謝しかありません。
年齢も出身も職業も様々な人々がゲストハウスを通して繋がっていく。とても素敵だなと毎日感じていました。そんな最高の場を設けてくれたオーナーの健おじには心から感謝したいと思います。
少し勇気を出して挑戦した先には数えきれない程の収穫がありました。本当に島キャンに参加してロングビーチに就業できてよかったです。また必ず帰ってくることを約束します!!!