あいむとくのしまサポーター!
今、徳之島観光連盟は過渡期を迎えようとしています。ちょうど今年から連盟のメンバーも変わり、徳之島の観光をより良くしようと様々な新しいことに取り組んでいます。島キャンの受け入れもその一つだと教えてもらいました。そんな徳之島観光連盟で2週間就業させていただき、私は多くのことを学びました。
まず学んだのは、新しいことを始める難しさです。連盟側が変えたり新しくすることに対して、島民全員が賛同するわけではないようです。島のために動いてもそれを良く思わない人もいる現状。その中で動いていくことは難しいのだと知りました。長い間島で生まれ育った人たちが変化を理解し、足並みを揃えていくにはどうするべきなのか考えさせられました。
もう一つは「島にとって幸せな観光とは何か」ということです。「オーバーツーリズム」という言葉を聞いたことはありましたが、観光連盟で働いてその言葉の意味を初めて肌で感じました。徳之島の良さは手付かずの自然と多様な生物、そして島独特の文化です。要は人があまりいないからこそ成り立つ魅力なのです。観光連盟はその魅力を残しつつ、島を残すために観光を振興させなければいけません。島の人たちに実際に島の観光についてどう思うかを聞くと、「徳之島をより多くの人に知ってもらいたいが、この生活が変わってほしくはない」と言っていました。島が幸せな観光。それをこれからどう実現していくかは今の観光連盟にかかっているようです。
このようなことを毎晩遅くまで話し合っていましたが、問題もたくさんあるけれど自分たちの手で一からつくっていく仕事をするのは本当にやりがいのあることだと感じました。観光連盟は外部から来る観光客と内部の島民をつなぐという大きな役割を果たそうとしています。2週間という短い間しか観光連盟には携われませんでしたが、これから観光連盟がどう変わっていくかを見ていきたいです。そして時間を忘れて仕事をしている彼らを見て、私もこんな風に夢中になれるような仕事をしたいと思える本当に良いきっかけとなりました。
徳之島で一番感じた魅力はやはり「人」です。島キャン生として徳之島に訪れたおかげで、2週間の間にたくさんの人と出会えることができました。観光連盟の方々、海沿いを散歩していた際に話しかけてくれたおばあちゃん、人懐っこい子供たち、自分が育った島のために動く大学生、人生経験豊富でパワフルなおじいちゃんたち。育ってきた環境や考え方が自分とは違うからこそ、これらの出会いは私にとって貴重なものとなりました。今でもその方々の顔を思い浮かべると胸がいっぱいになります。
そのようなたくさんの出会いの中でも特に印象に残っている方が、元田さんです。元田さんは金見集落でツアーガイドの活動をおこなっている方です。生まれも育ちも徳之島の金見で、定年後にこの仕事を始めたそう。私もその金見エコツアーに参加し取材をさせていただきました。ツアーの参加者は皆さん徳之島に住んでいる方で、東京から移住した方や離島留学生の子もいました。そんな参加者の皆さんに元田さんは熱心にガイドをし、最後には島口で昔話までしてくださいました。エコツアーが終わり、後日電話で取材した際にも、丁寧に質問にこたえてくださいました。それもこれも全部、金見の魅力をより多くの人に知ってもらうため。自分の育った地を愛し、努力して広めようとしている姿に感動し大きな刺激を受けました。そして元田さんは、この活動を後継する若い存在がなかなかいないとも漏らしていました。やはり島を発信する若者の不足は深刻な問題となっているようです。そんな問題についても考えるきっかけとなりました。
実は島キャンに参加するまで、恥ずかしながら私は徳之島のことを知りませんでした。就業先が決まった後に徳之島のことを調べ、直行便がないことに驚いたことを今でも覚えています(笑)。そんな縁もゆかりもない徳之島という島に来て、お受入れの担当である丸山さんは「まずは徳之島ファンになってもらいたい」とおっしゃっていました。その言葉どおり島中を回り、たくさんの島民と出会い、徳之島のことを好きな人と一緒に仕事をしているうちに、あっという間に徳之島のファンになっていました。きっと旅行で徳之島に来ていただけならここまで徳之島のファンになることはなかったでしょう。一人で来て2週間濃い時間を過ごしたからこそ、その魅力を知ることができたのだと思います。
そして帰ってきた今は徳之島が恋しくてたまりません。満員電車に揺られて通学することにも、近所の人とバーベキューをしないことにも、違和感を覚えてしまいます。ここまで徳之島に染められてしまった自分に驚きさえしました。家族にも友達にも口を開けば徳之島の話をしてしまいます。「そんなに言うなら徳之島行ってみたいかも」そう言われ、自分が徳之島ファンから徳之島サポーターになりつつあることを実感しました。
これからは私が徳之島を発信する番です。「2週間楽しかった〜」で終わらせたくない。実は現在島での出会いからつながり、「月刊奄美」という月刊誌のエッセーを書かせていただこうとしています。こうして徳之島で得たつながりをこれからも大事にし、徳之島に関わることをしたいと思っています。どうやらこの夏私は“楽しい夏の思い出”以上のものを持ち帰ってきたようです。