島キャン実施レポート

「人と人は支え合って生きている」を教えてくれた喜界島

2017年夏 喜界島
喜界島サンゴ礁研究所
2017年8月2日~8月15日
日本女子大学 理学部 物質生物科学科  石塚 詩織
良く聞くこの言葉。喜界島に行く前は、ベタな台詞にしか思えませんでしたが、それが本物であるという事を今回実感しました。
できることをひとつずつ

島に着いた私を待ち構えていたのは、料理でした。子どもキャンプのお手伝いも、カフェの仕事も、料理とは切っては切り離せない関係にありました。お恥ずかしながらも、料理とは縁の遠かった私ですから、沢山迷惑をおかけしたことと思います。初めは、何をしたらいいのかもわからないまま、慣れない包丁で手を切り、足を引っ張ってばかりの自分の無力さにひたすら打ちひしがれました。
しかし、周囲の人々は嫌な顔一つせず支えてくださり、私は何とか仕事をこなすことが出来ました。自分が支えてもらった分、率先して男性の方に交じって力仕事に参加し、いすやテーブルを運んだりしました。また、運転免許を持っていたので、貯まったごみをごみセンターに直接捨てに行ったりしました。
慣れない環境の中でも、自分なりにできることをみつけ、それを実践していくことの重要さをしりました。
そしていつしか、「自分がこれをしたら○○さんは楽になるだろうなあ、喜ぶだろうなあ」という視点で仕事を見つけることが出来るようになりました。
その視点を、島キャン以外のフィールドでも活かしたいと思います。

人口7000人の「結いの島」での人との繋がり

この島は、人口七千人だけあって人と人との距離が狭く近いように感じました。こどもキャンプで来ていた子の叔父さんが、居酒屋で知り合った人であったり、お祭りの司会者がフェリーで知り合った方との友達であったり、人と人との繋がりが分かることが面白く感じました。
また、この島の人は、他人との壁を作らないところにも新鮮味を感じました。私が挨拶するとどの方も返してくださり、集落のお祭りの踊りの輪にも入れてくださり、よそ者の私にでも島の人は気軽にコミュニケーションをとってくださいました。自分の住んでいる場所ではありえない光景のように思えました。都会では知らない人とは基本的に無干渉。電車では席の奪い合いが起こり、互いが互いをにらみ合う。そんな環境で生きてきた私は、喜界島の人々の温もりに触れることで、いかに人と人との関係が希薄な場所で生きてきたかを実感しました。いつもはいらぬ気を使い、壁を作りがちな私でしたが、飾らずに、ありのままで人と接することかできました。そして最後に、「またおいでね」と言っていただいたり、フェリーまで見送りに来てくださるくらいに島の人と仲良くなることができたのが何よりも嬉しく思いました。
この島の温かなハートは、喜界島の財産として、在り続けてほしいと思います。

友達「えっ?就活おわったのにインターン行くの?」

島キャンの話をするたびに、よく友達に言われます。
就職活動を終えた4年次にもかかわらず今回島キャンに参加し、喜界島に行った理由は、自分に何か一つでもいいから変革をもたらしたかったからです。今まで私は、人と関わることや、積極的に何かを行うことから逃げ、バイトと遊びに明け暮れていました。だからこそ、このような企画に参加し、就職を控えた今、人生に何か変化を起こそうと立ち上がった訳であります。喜界島は特に、他の島より狭く、人と人との距離が近いと伺っておりました。その人と人との関わりの中で新たな価値観や、島での生き方を自分の中に落とし込んでいきたいと思い、選択いたしました。
結論から言うと、残念ながら私は島おこしと胸を張って言えるような変化を島にもたらすことも、皆が驚くような急成長もできたとは思いません。しかし、島での仕事や、人との関わりを通して自分自身何かが変わっていくの感じました。子供が苦手だった私が、こどもキャンプのお手伝いをしていく中で、いつのまにか絵をプレゼントしてもらえるまでに仲良くなれたり、人見知りの私が初対面の人とお酒を飲み交わせるようになったり、人と関わるという面で成長できたのではないかと思います。また、その触れ合いは、もしかすると自分だけではなく島の人にも何かしらのプラスの変化を与えることになるではないかと思います。一人で暮らしてるおばあちゃんと、孫世代の私たちがコミュニケーションをとる
ことが、その人の心の支えになったり、島でずっと暮らしてきた人と島外で暮らしてきた私たちが話をすることで、喜界島に新たな風を呼ぶきっかけになるかもしれません。
何気なく島の人とコミュニケーションをとることが島の人々に変化を与え、島おこしの第一歩につながるのではないかと考えました。
人と人との触れ合いにより、自分そして島人にも何かしらの変化を起こすことができるのは人の温かいこの島だからこその強みだと思います。
自分を固定的に考えがちで、自分を一度見つめ直したくなった時、自分のいいところを探しに行きたくなった時、人と触れ合いたいときにこの島はうってつけではないでしょうか。