「島らしさ」の大切さ
2週間の就業を通して学んだことは、「働くとは何なのか」ということについてです。しかしただ働くことではなく、「島で働くこと」についてしっかりと理解することができました。大都会の大企業では、絶対に学ぶことはできません。
就業させていただいたホテルでは、お客様と距離を近くに置いて「いっらっしゃいませ」ではなく、あえて「おかえりなさいませ」と言う心遣い、お客さんとホテルマンという事務的な会話にとどまらない世間話やちょっとした一言を忘れずにかけていました。
マニュアルのない接客だからこそ、自分の言葉で自分のペースでお客様とコミュニケーションがとれる「島の接客」ができるのではないでしょうか。
今まで「働く」というと名の知れた企業に就職して昇進すること、より多く稼ぐことが良いのだと勝手に思い込んでいました。
しかし、喜界島にきて、「こういう働き方もあるんだよ、覚えておいてね」とホテルの方に言われて、自分の狭い視野が広がりました。
「働く」というのは何も1つの道ではなくいろいろな道があるもので、自分次第でどんな方向にも行けるのだなということを学びました。
島にいる間は、「はげー、すーやあちっさや」「かみっかさやー」の日々で肌はこんがりというよりも焦げて、体重も順調に増加しました。
上記の二つは喜界島の方言で「うわー、今日も暑いね」と「食べ過ぎたー」という意味です。ホテルの方が教えてくださいました。
しかし残念なことにこういった方言が消えつつあります。たった2週間の滞在でその深刻さを目の当たりにしました。
島の中学生や小学生と話す機会がありましたが、「自分たちは方言がわからない」「話せないし、聞いても何をいっているか聞き取れない」と言っていたのです。ホテルの方も」50、60代の方は喋れても、30代の方はリスニングのみでスピーキングができないといったように徐々にしゃべれる人が減っていることに気づきました。
神奈川育ちで方言にあこがれる私にとってこの現状は驚きでした。方言のような伝統や文化をを消すことは簡単ですが、再び普及させることは困難で膨大な時間がかかると思います。まだ方言を喋れる方々がいる今こそ、行動を起こすべきであると強く思います。方言とは無縁だからこそそういった視点で喜界島のいいところばかりではなく、抱えている課題にも気づくことができたのではないかと思います。
喜界島のホテルで就業してみて、宿泊のお客様で多いと感じたのは仕事関係や帰省で島を訪れる方々です。観光のお客様は半分くらいでそこまで多いという印象は受けませんでした。
確かに私も島キャンに参加するまでは、喜界島がどこにあってどんな島なのか全く知りませんでした。
島の方針的にも、新たな観光客を取り入れるというよりも、一度来た人がもう一度来たいと思えるような島を目指しているそうです。
なぜなら、あまり多くの方が来島しても対応できるような施設が島には少ないからです。
私は観光スポットやイベントに限らずに、明るくてオープンな島人の人柄こそが貴重な資源、島の宝であると思います。外から来た私を笑顔で丸ごと受け入れてくれた島を、一生忘れません。島の子供たちを見るとそういった宝が受け継がれているなと感じました。