島キャン実施レポート

生まれて初めての島の暮らし

2018年夏 新上五島町
くらしの学校「えん」
8/29~9/11
大阪大学医学部  永井 あや
島から学ぶ、島だからこそ学べる
食べものをつくるということ
この濁った海水が真っ白な塩になります!

新上五島町には、たくさんの塩屋さんがあります。そして私の就業させていただいた、くらしの学校「えん」も島で塩をつくっている事業所です。「えん」のこだわりは鉄釜を使い、すべての工程を人の手でおこなっていることです。くらしの学校「えん」を運営している小野さんの、心を込めて作られた塩は、とても濃厚で、かつ柔らかな優しい塩でした。私は、えんで塩作りだけでなく、たくさんの動物の世話をしたり、魚をさばいたり、椿の油をしぼるため椿の実を収穫したり、手作りの醤油や豆腐をつくったりとたくさんの体験をさせていただきました。ここでは自分たちの食べるものをできるだけ自分たちの手でつくる、自然と一体化した、自給自足のくらしがありました。

島の人のつながり
十数名集まった石窯ピザパーティ

新上五島町は人口約19,000人。とても小さな島、というわけではありませんが、島から出るためには船に乗り、海を渡るしかありません。島の中にコンビニはたった2店舗。夜は8時になると人がほとんど歩いていない、決して便利とは言い難いこの島で、私が感じたのは、人と人とのつながりと人の温かさでした。「えん」には毎日たくさんの来客があり、驚くほど人が出入りしていました。そしてたくさんの人と話をします。家には絶対に鍵をかけ、危ないからと子どもが知らない人に挨拶をさせないようにする都会では考えられない光景でした。私は、危ないからだめだと言われていたヒッチハイクをここで挑戦することができました。都会では断られ、素通りされるのがほとんどなのに対し、島の人はほとんどの人が乗せてくれます。そこでもたくさんのお話をすることができました。島の人々の温かさに触れた2週間でした。

 

島の医療

看護学生の私にとって、島の医療を知ることは島キャンに参加する上で1つの目標でした。新上五島町で一番大きい、上五島病院を見学するチャンスをいただきました。正直なところ、上五島病院はとても綺麗で設備も整っており、私の想像していた島の病院とは少し違っていました。しかしこのような病院は、新上五島町でこの上五島病院だけで、唯一入院ができる病院、そして唯一救急を受け入れている病院でした。医師不足で担当医が度々替わることへの島民の不満、どんな状況でも救急患者を受け入れなければいけない病院の負担、総合的に患者をみる力が求められる医療関係者。私は今回、島民と医療関係者の両方から生の声を聞くことができ、離島の医療とは、そして島だけに限らず高齢化の進む地方での医療を考えるきっかけになりました。

「えん」のすぐ前には青い海が広がっています!
「えん」にはたくさんの動物たちがいます!
壮大な「あこう樹」